2023年から導入される労働ビザ(EP)の新たなシステム「COMPASS」とは!
シンガポールは外国人用労働ビザの取得に関して新たな制度を導入します。
シンガポールでEmployment Pass(EP)を申請/更新する人は、最低給料額を満たすことに加え、2023年9月1日からポイントベースの相補性評価フレームワークCOMPASS(Complementarity Assessment Framework)に合格する必要があります。
すべてのEP申請について、最低給料額が引き続き適用されます。
注意事項として、すべてのセクターにおいて、2022年9月1日以降、EPの最低額は月額5,000シンガポールドル(約50万円)となります。
金融セクターでは、受給資格者給与の最低額が月額5,500シンガポールドル(約55万円)に引き上げられる予定です。
この新システムは、2023年9月1日からの新規申請と、その1年後(2024年9月1日)のパス更新に適用される予定です。
今回は、採用担当者、人事担当者、EPを将来的取得する人が知っておくべきCOMPASSについて簡単にご紹介します!
COMPASSの仕組みは?
COMPASSは、個人と企業に関連する総合的な属性に基づいてEP申請を査定します。
4つの基本的な基準で採点され、申請者は期待に応えているか、期待を上回っている場合に「ポイント」を獲得します。
さらに、申請者は、関連する資格条件を満たしていれば、ボーナス基準でさらにポイントを獲得することができます。
6つの評価基準に基づき、「期待に沿えない」「期待に沿う」「期待を上回る」にそれぞれ対応する0点、10点、20点を採点しています。
EP申請者がビザを取得するためには、「合計40点以上」が必要です。
つまり、40点以上で合格、40点以下で不合格となります。
いずれの基準も失格対象にはなりませんが、合計点が40点を下回ると、EPの対象外となります。
さらに、各基準は、申請者に対して公平かつ無差別になるように設計されています。
①給与の基準
応募者の給与は、同じセクターで同じような年齢の現職社員のプールと比較されます。
つまり、シンガポール人の平均給料と比較して、どのレベルにあるのかを測ります。
例えば、100人のシンガポール人のデータがあったとして、上位10人に入る給与額だった場合は20ポイントとなります。
上位35人から11人に入る場合は10ポイントで、36位以下の場合は0ポイントとなります。
2022年12月からセクターごとの給与ベンチマークが発表され、雇用主が応募者の数値を簡単に知ることができます。
②卒業資格の基準
応募者の学歴は、世界トップ100にランクされる大学、シンガポールの大学、高い評価を受ける職業教育機関を基準に測定されます。
学位に相当する資格については、英国の学位制度による学士号を比較の基準としています。
世界トップ100位以内の大学などは20ポイント、学位相当の資格の場合は10ポイント、で学位相当資格がない場合は0ポイントとなります。
③多様性の基準
この基準の評価には、現在の従業員総数に対する申請者の国籍の従業員総数の割合が必要となります。
例えば、社内で申請者と同じ国籍の従業員の数が多ければ、多様性の基準で加点される可能性は低くなります。
自分が日本人で、働く会社における従業員の中で日本人の数が5%未満の場合は20ポイント、5%〜25%の場合は10ポイントで、残りは0ポイントとなります。
※従業員が25名以下の企業は自動的に10ポイント加算。
ローカル雇用の支援
現地従業員の割合は、同じサブセクター内の他の企業と比較されます。
同じサブセクターの同業他社よりも現地従業員の割合が高い企業は、この基準でポイントを獲得することになります。
企業における従業員のうちローカル人材が占める割合が同業種と比較をして上位何番目の層に位置をしているかということです。
給料の時と同じくこちらも統計値をとってポイントが加算されます。
自社内におけるローカル従業員の割合が上位50社以内の場合は20ポイント、上位80社から51社以内の場合は10ポイント、それ以下は0ポイントとなります。
※従業員が25名以下の企業は自動的に10ポイント加算。
不足職種リスト
地域の雇用市場で不足している才能は、不足職種リストに反映されている可能性があり、リストに掲載されている職種に応募すると、さらにポイントが加点されます。
戦略的な経済優先事項
シンガポール政府と連携し、革新的な国際的活動を行っている企業の応募は、さらに加点されます。
例外条件について
- 月収22,500ドル(約225万円)以上の場合。
- 企業内転勤(ICT)を利用した異動の場合。
- 1ヶ月未満の短期雇用の場合。
まとめ
今まではEP申請者の給与額や学歴などのみを審査項目として置いてきたシンガポールですが、今年の9月からは「企業」側もある意味で審査を受ける対象になり、より外国人労働者の雇用の引き締めが行われます。
40ポイントをクリアすれば労働ビザが貰えるといった非常にシンプルなスキームに見えますが、日本人としては「最低」でもこのような条件となります。
自分がシンガポールで貰う給料が、相対的に市場の上位35位以上に入る。世界トップ100位以内と大学でなくとも、大学を出ている。勤め先の日本人の数が全社員の4分の1以内。そして、相対的に会社のローカル従業員の雇用率が上位80位以内。
このギリギリラインで40ポイントとなります。どれかひとつでも欠けていたら他で補うしかありません。
新たな制度の導入でシンガポールの雇用が大きく変わりそうです。
この先、シンガポールに留学を考えている方で、生活のことや学校選びのことでお困りでしたら、ぜひ一度気軽にお問い合わせください!
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